中高年からの健康を保つためには、自律神経を整えておく事が大切です。
自律神経とは、私たちの意志とは無関係に、体内環境を整え生命維持に関するさまざまな働きを調節している神経です。
私たちは夜眠っている時も呼吸をし、心臓が動いています。また、物を食べると胃の中で食べたものが消化され、気温が暑い時は汗を出して体温を下げようとします。これらは皆、自律神経の働きです。
自律神経は、間脳の視床下部というところにありますが、交感神経と副交感神経との2つに分かれています。この交感神経と副交感神経は、体の中でまったく逆の働きをします。
交感神経は主に体の働きを活発にし、副交感神経は体を休めるように働きます。
昼間は、交感神経が優位になっているため、心臓の収縮が速く、呼吸数や脈拍も多く、人間の活動を支えます。
夜になると、副交感神経が優位になり、心臓の収縮はゆっくりとなり、呼吸数や脈拍は減少し、体はリラックス状態になります。
私たちの体は、この交感神経と副交感神経のバランスが保たれ、正常に機能している時に「健康」であると言えます。
しかし、何らかの影響でバランスが崩れると、心や体にさまざまな症状が現れてきます。そのバランスの崩れ方が極端になると、自律神経失調症と言われる症状が現れます。
特に中高年世代に多いストレスは、交感神経優位の状態を招きやすくなります。
心に不安や悩みを抱えたまま、休みを取らず働き続けたり、十分な睡眠時間が取れなかったりすると交感神経優位の状態が続きます。
交感神経は、血管を収縮して血が流れすぎないようにする働きがあるため、血液の循環が悪くなり、頭痛や胃腸の不調、不眠、イライラ、疲労感、肩こり、腰痛などの症状が現れて来ます。さらに悪化すると高血圧、動脈硬化、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や、ガンなどを引き起こします。
副交感神経は、血管を広げて体の末端まで血液を送る働きがありますが、副交感神経優位の状態が続くと、アトピー性皮膚炎やぜんそくなどのアレルギー性の病気にかかりやすくなります。また、血管が拡張した状態が続いた場合でもうっ血となり、血液の流れが悪くなるため、さまざまな生活習慣病発症の引き金にもなります。
このように、自律神経は、交感神経と副交感神経のどちらかが優位の状態が続くと、いろいろな病気を発症するきっかけとなります。
中高年以降、健康な体を維持して行くためには、この自律神経の働きにも目を向けておきましょう。
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